【一歩足りないバリアフリー 〜シャワー浴編(2)〜】
記事の概要
・高齢者施設で使われているシャワー浴装置のシャワー。これをバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・その欠点とは? そのアイデアとは?
・シャワー浴装置を一歩すすめるアイデアについて考察します。
今回のテーマもシャワー浴です。
前回の「一歩足りないバリアフリー 〜シャワー浴編(1)」の続きです。前回は可動式のアームに高齢者が掴まると転倒事故の危険性があることを書きました(前回の記事はコチラ)。
このシャワー浴装置、実はもう1つ「一歩足りないところ」があります。さて、どこが一歩足りないのでしょう?
答えは「手動シャワーの位置と強度」です。
前回も話しましたが、足腰が弱って自立歩行に不安がある高齢者は、常に「手すり」や「掴まる所」を探しています。なので、椅子に座る時や椅子から立ち上がる時、この手動シャワーを掴んでしまうのです。
しかも、この手動シャワー、座る時や立ち上がる時に、掴みたくなる位置に設置されているのです。それに、シャワーヘッドの形って、何故か捕まりたくなる形状なのです。
更に、一般家庭にもよくある手動シャワーと同じものなので、強度が十分ではありません(壊れると困るので実際に強度のテストをしたことはありませんが…)。
高齢者がこの手動シャワーに掴まって立ったり座ったりすると、手動シャワーが外れて転倒事故につながる危険性があります。
大変な努力を積み重ねて完成させたシャワー浴装置。もう一歩足りないだけで、高齢者に怪我をさせたら大変ですし、その努力の積み重ねが台無しになります。非常に勿体無いです。
バリアフリー目線による商品開発ヒント
手動シャワーをもっと高い位置にセットできるようにすべきです。
状況によっては、上記写真のように低い位置にセットしたい場合もあるので、高い位置と低い位置両方にセットできるといいですね。もちろん、低い位置にセットする場合は、強度を十分に持たせる必要があります。
言い換えると、強度を十分にして低い位置に手動シャワーをセットする。手動シャワーが「手すり」としても機能するのであれば、非常に便利で画期的な商品に生まれ変わります。
このように、あと一歩の気遣いをするだけで、非常に便利で安全性の高い装置になります。
「高齢者は常に掴まる所を探している」…バリアフリー市場 ・高齢者ビジネス では必要な着眼点です。
なお、同趣旨のブログ記事【一歩足りないバリアフリー 〜シャワー浴編(1)〜】【バリアフリー商品開発支援 〜クルマのドア編〜】【バリアフリー商品開発 〜送迎編〜】【一歩足りないバリアフリー 〜クルマのドアノブ編〜】【一歩足りないバリアフリー 〜福祉車両編〜】もご覧下さい。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
このように、高齢者・障害者・介護ヘルパーなどの意見をしっかりと聞き取り、もう一歩踏み込んだバリアフリーを実現すれば、他の追随を許さない「シャワーを手すりにできるシャワー浴装置」になります。
高齢者ビジネスの市場規模は大きく、これからアメリカや中国でも高齢化が進み、需要は増加する一方です。まさにブルーオーシャン市場。
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