【バリアフリー商品開発支援 〜収納棚編〜】
記事の概要
・詰替え用液体ソープをバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・その欠点とは? そのアイデアとは?
・超高齢化社会において必要となるアイデアについて考察します。
最近のエコ志向で「使い捨て商品」は敬遠されるようになり、「詰め替え商品」が多く出回るようになりました。
この液体ソープもその1つ。最初は液体ソープの入った容器を購入しますが、中身のソープがなくなったら、この詰め替え用ソープを購入して、容器に移し替えます。
でもこの「詰め替え用液体ソープ」をバリアフリー目線で見ると、1つ困り事があります。さて、その困り事とは何でしょう?
答えは「知的障害の人が誤って飲んでしまうおそれがある」です。
牛乳パックと同じ形状だからです。
もちろん、容器には大きく「飲み物ではありません」と注意書きが記載されています。でも、そもそもこの注意書きを読んで理解できる人であれば、これを飲んだりしないのです。
問題なのは、それを読めない、或いは、読んでも意味が分からない人の誤飲をどう防止するかなのです。
また、最近はジェルボール状の洗剤も人気で盛んに販売されていますが、食べ物と間違えて誤食する事故が100件以上も報告されています(消費者庁調べ)。
バリアフリー目線の商品開発ヒント
この詰め替え用ソープ。コストや利便性を追求した結果、牛乳パックと同じような容器になったのだと思います。ジェルボール洗剤も同様の理由でこのような形状にしたのだと思います。よって、「障害者にとって危険だから販売するな!」とは言えません。企業にも様々な事情があり、企業に無理を言うと、バリアフリーの促進が却って後退します。
そこで、着眼点を変えると、鍵付きの収納棚の開発という発想が生まれます。
鍵の付いた収納棚って、意外にないのです。そんなに厳重な鍵でなく、ダイヤル式で数字を合わせれば簡単に開錠するものが最適です。最初から鍵の付いた収納棚でも良いですし、後から取り付けられる収納棚用の鍵でも良いです。鍵が付いていれば取り出すことができないので、誤飲の心配はありません。
なお、鍵をつけるべきものは他にも沢山ある筈です。収納棚に限らず様々な物に鍵をつける。
バリアフリー市場 ・高齢者ビジネス では「鍵付き○○」という着眼点が必要になります。
バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)
誤飲のおそれがあるのは知的障害者だけではありません。認知症の高齢者や幼児も同様です。知的障害者の安全を考慮すると高齢者や幼児の安全も確保できるのです。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
鍵付きの収納棚という意外に見かけません。もちろん、探せばあるはずですが、それを高齢者用・介護用とアピールしているものはありません。
そこで、「介護用収納棚 〜危険なものを収納できるよう鍵を付けました〜」などとアピールすれば、唯一無二の商品にすることができ、他社製品と差別化できます。
高齢者ビジネスの市場規模は大きく、これからアメリカや中国でも高齢化が進み、需要は増加する一方です。まさにブルーオーシャン市場です。
障害者・高齢者の日常から
私には知的障害を持った息子がいます。親の立場からすると、やっぱり怖くてこの詰め替え用ソープやジェルボールは買えないです。これは高齢者施設でも同様です。
バリアフリー目線の大切さ
「飲み物ではありません」と大きく書いたから大丈夫。でも、これは障害者や高齢者には通用しない場合があります。私たちは説明に頼りすぎることがあります。「説明だけでは足りないよ」と障害者の目線が教えてくれます。鍵付きの収納棚などで保管方法を工夫したり、その商品が危険であることをもっと分かりやすく、もっと直感的に表せば思わぬ事故を防止でき、皆が幸せになります。
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