【一歩足りないバリアフリー 〜靴底編〜】
記事の概要
・【高齢者用の靴】を高齢者が持つバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しい販売アイデアが生まれる。
・その欠点とは? その販売アイデアとは?
・超高齢化社会において必要となる靴の販売方法について考察します。
今日のテーマは靴底です。
歩行困難な高齢者は沢山います。なので、歩きやすさや穿きやすさに配慮した高齢者の靴が盛んに販売されています。
例えば、下の写真は、ある高齢者用の靴の底です。高齢者が滑って転倒しないよう、しっかりとした滑り止め加工がされています。
でも、この靴をバリアフリー目線で見た場合、「もう一歩足りないバリアフリー」なのです。さて、どこが一歩足りないのでしょう?
答えは「滑り止め加工が強すぎる」です。
歩行困難な高齢者はゆっくりと歩きます。いわゆる「よちよち歩き」です。このような人に、この靴は最適です。
でも、すべての高齢者が「よちよち歩き」をする訳ではありません。
足が多少不自由でも、杖や手押し車(シルバーカー)を使えば、スタスタ歩ける人は沢山います。
そんなスタスタ歩きができる高齢者にとって、滑り止めが強すぎる靴は危険なのです。この靴を履いてスタスタ歩くと、滑り止めが強すぎるために躓いて転倒してしまいます。
実際、私が介護した高齢者はこの靴を履いて転倒しました。上の写真はその高齢者が転倒した時に履いていた靴の底です。
「これ滑らないから怖いのよ」と言いながら、私に靴を見せてくれました。
バリアフリーアドバイス
「よちよち歩き」の高齢者には、滑り止め加工が強い靴が必要です。でも、そうでない高齢者には危険です。
問題は、滑り止め加工が強い靴も、そうでない靴も、一括りにして「高齢者用靴」と区別なく販売しているところにあります。
靴を見せてくれた人も「高齢者用だから買ったのに」と言っていました。
もう少し高齢者を細分化して、商品説明を丁寧に分かりやすくすべきなのです。
「よちよち歩き用の靴」、「スタスタ歩き用の靴」などと細分化して靴を販売すればより安全になります。
バリアフリー目線で靴を見直すと、このような販売アイデアが生まれます。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
このように、高齢者・障害者・介護ヘルパーなどの意見をしっかりと聞き取り、もう一歩踏み込んだバリアフリーを実現すれば、他の追随を許さない靴の販売方法を実現できます。
特に、高齢者ビジネスの市場規模は大きく、これからアメリカや中国でも高齢化が進み、需要は増加する一方です。まさにブルーオーシャン市場です。
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