【一歩足りないバリアフリー 〜シャワーの蛇口編〜】
記事の概要
・一見よくできたバリアフリーの浴室を、高齢者や障害者が持つバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がる。
・その欠点とは?
・その欠点を解消して、もう一歩踏み込んだバリアフリーを実現すれば、他社製品との差別化を図ることができる。
今日のテーマはお風呂です。最近はバリアフリーに配慮した家作りが常識になっていますね。
バリアフリーに配慮したリフォームをすると税制優遇を受けられるなど、制度面からもバリアフリー普及を後押ししています。
下の写真は一般的な家庭にある浴室です。手すりが付いていてバリアフリーに配慮されている。
でも、写真の浴室をバリアフリー目線で見た場合、「もう一歩足りないバリアフリー」なのです。さて、どこが一歩足りないのでしょう?

ヒントはこの写真↓

答えは「蛇口の操作が難しい」です。
どういうことか説明します。
上記のとおり、手すりを付けることで、この浴室はバリアフリーへの配慮をしています。
しかし、蛇口がいけません。
この蛇口は、レバーを左に回すと「カラン」からお湯が出て、

右に回すと「シャワー」からお湯が出て、


レバーを中心部で止めるとお湯が止まる構造になっています。

ところが、この「レバーを中心部で止める」が難しい。
中心部の幅が小さすぎて、少しでも左右どちらかに偏ると、カランやシャワーからお湯がチョロチョロと流れてしまいます。
私も実際にレバーを回してみましたが、非常に難しい。ピタッとお湯が止まることもあれば、どちらかに偏ってお湯がチョロチョロ流れてしまうこともあります。

なので、認知症の高齢者、手が不自由な人、知的障害のある人にとってはもっと難しい。
せっかく「手すり」を付ける配慮をしておきながら、蛇口には何の配慮もしていない。言い換えると、足の不自由な人には配慮しておきながら、認知症の高齢者、手が不自由な人、知的障害のある人には配慮をしていない。
これが非常に残念で、勿体無いと思うのです。
バリアフリーアドバイス
この蛇口の欠点は「お湯の出し入れ」と「カランとシャワーの切り替え」とを1つのレバーで行えるようにしてしまった点です。
もっと普通で一般的なものでいいのです。
レバーを2つにして、1つ目は「お湯の出し入れ」のためのレバー、2つ目は「カランとシャワーの切り替え」のためのレバーとすれば、この問題は解決します。
凝ったものより普通のもの…高齢者ビジネスで必要な着眼点です。
また、なぜか多くの人は、
「バリアフリー」=「車椅子ユーザーのためのスロープ」
or
「バリアフリー」=「歩行困難者のための手すり」
or
「バリアフリー」=「視覚障害者のための点字」
を思い浮かべ、それ以外の人を忘れてしまう傾向があります。
障害は多種多様…これも高齢者ビジネスにおいて大切な着眼点です。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
このように、もう一歩踏み込んだバリアフリーを実現すれば、高齢者や障害者に喜ばれ、他社製品との差別化を図ることができます。
特に、高齢者ビジネスの市場規模は大きく、日本のみならず、これからアメリカや中国でも高齢化が進み、その需要は増加する一方です。まさにブルーオーシャン市場。
このような配慮の積み重ねが、ブルーオーシャン戦略成功の鍵になります。

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