今回は、前回の記事の続きです。
前回は、「障害/障がい/障碍 どの表記が適切か?」という記事でした。
結論を要約すると、
どの表記でも良いけど、その表記を使用する前に、なぜそれを使用するのかを自らしっかりと考えて、信念を持って使用した方が良い。
というものです。
この表記の議論は結構色々なところで議論されていますが、ここではもう一歩踏み込んで
「障害者」
「障害のある人」
という表記・表現の問題に言及したいと思います。
なお、今回の意見も私の個人的意見に過ぎないので参考程度と考えてお読み頂ければ幸いです。
理屈から考える「障害者」と「障害のある人」
障害のない人のことを「健常者」と言います。
障害のない人のことを「健常者」と呼ぶことに関し、違和感を覚える人は殆どいないと思います。
そうであるならば、障害のある人のことを「障害者」と呼ぶことも違和感はない筈です。
なので、理屈からすれば「障害者」で問題はありません。
しかし、感情面から考えると、そうもいかない問題があります。
感情から考える「障害者」と「障害のある人」
私の息子には知的障害があります。
私が誰かに息子のことを話すとき
「私の息子は障害者で、云々……」
と、息子が障害者であると端的に表現し、これに関し私は何の抵抗もありません。
正確に言いますと…息子の障害を受け入れることができなかった20年前は、これを言うことが辛かったですが、障害を受け入れた以降は、自分の息子を「障害者」と呼ぶことに全く抵抗がありません。
しかし、その一方で、他の人から
「あなたの息子さんは障害者なのですか?」
と言われると、ちょっと心がザワザワします。
やはり、ここは
「あなたの息子さんは障害をお持ちなのですか?」
と言って欲しいのです。
なんといいますか…これは感覚の問題なので、理屈では説明できないのですが…
この場合は「障害者」というのは、ちょっとキツい表現に感じるのです。不思議ですね。
なので、私は
「障害者」
との表現は極力避けています。
「障害のある人」
「障害をお持ちの人」
と極力表現するようにしています。
ただし、ケースバイケースで「障害者」と端的に表現した方がいい場合もあるので、「障害者」という表現を使うこともありますが。。。
結論(何が正解か?)
何れにせよ、この問題には正解がないので、誰かに表記・表現を強制すべきものではありません。
敢えて正解を言うならば、前回の記事でも紹介した
・言葉の問題ではない。大切なのは「その言葉を使う人の気持ち」
・しっかりとした信念や理念があるなら、どっちを使ってもよい。
これが正解なのだと私は思います。
おまけ
千葉市の市長で熊谷俊人さんという方がいます。
この方はTwitterで、以下のような発言をされています。
「身体に障害を持つから身体障害」「内臓に障害を持つから内蔵障害」「知的活動に障害があるから知的障害」そう考え人の方が圧倒的に多く、それを軌道修正するのは「ちょっと無理があるよなぁ」と思うのです。
千葉市市長 熊谷俊人さんのTwitterより
非常にしっかりとしたお考えをお持ちで、この発言に賛同する方も多いと思います。
この考えに基づけば、「障害」「障害者」で何の問題もありません。
ただ、私の個人的な意見ですが、
「ちょっと無理があるかなぁ。」
「世間一般はそう思ってないよなぁ」
と思います。
「身体に障害を持つから身体障害」
「内臓に障害を持つから内蔵障害」
「知的活動に障害があるから知的障害」
そう考え人の方が圧倒的に多く、それを軌道修正するのは「ちょっと無理があるよなぁ」と思うのです。
最後に
何れにせよ、一番大切なのはその言葉を使う人の気持ちであり、言葉そのものではありません。
前回の記事でも述べましたが、言葉の問題は形式的議論に過ぎず、私は余り興味がありませんし、大切な議論だとも思っていません。
ただ、この問題で困っている人が意外なほど多いので、私の考えを記事にしました。
どなたかの参考になれば幸いです。
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