【バリアフリー商品開発支援 〜靴下編〜】
今回のテーマは「靴下」です。
高齢者デイサービスで働く介護ヘルパーは、高齢者の入浴を介助します。その際、介護ヘルパーの役割は、ただ単に身体を洗うだけではありません。
高齢者の身体に「傷はないか?」「腫れや湿疹はないか?」など、高齢者の健康状態をチェックします。
そこで頻繁に気づくのが「高齢者の脚の浮腫(むくみ)」です。脚がパンパンになっている人が多くいるのです。
むくみの原因は様々ですが、高齢者は歩く機会が少なくて「座りっぱなし」の状態が多いことが大きな原因の1つです。
下の写真は、浮腫んで靴が履けなくなった高齢者の様子です。
浮腫みでパンパンに膨れてしまい、靴に付いているマジックテープ(靴のベルト)が留められなくなっています。
そして、この「むくみ」が原因で、高齢者の脚(足首)はびっくりするような形になってしまいます。
下の図(左)のように、通常、ふくらはぎや足首は自然な曲線を描くのですが、脚が浮腫んだ高齢者の場合、靴下の跡がハッキリと付いていて、足首の外周が「ボコッ」と凹んでいるのです(下の図の右)。
これが若い人なら、靴下を脱げばすぐに元に戻るのですが、高齢者の場合、ずっと凹んだままです。当の高齢者は平気な顔をしていますが、何とも痛々しいですし、健康面でも好ましくない筈です。このような高齢者は意外なくらい多くいます。
バリアフリー目線による商品開発ヒント
そこで、「足袋」の復活です。
昔ながらの足袋なら、靴下跡は付きません。「コハゼ」と呼ばれる後方のフックで軽く留めるだけだからです。
・一般の足袋は伸縮性がほぼ無いので、靴下のような伸縮性素材を使い、
・「コハゼ」を嵌めるのが面倒なら、この部分をマジックテープにし、
・親指と人差し指の間の「鎌」が邪魔なら、西洋の靴下のように鎌を失くす。
このようにすれば非常に便利になります。
なお、お祭り用の足袋のように、そこにゴム底が付いているものもあるので、高齢者施設内を歩くこともできます。
つまり、昔ながらの足袋を、「高齢者のむくみ対策用の足袋風靴下」として再開発するのです。
高齢化社会にマッチした新しい靴下です。
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