【バリアフリー特許の世界 〜エスカレーター編〜】
記事の概要
・バリアフリーに配慮したエスカレーターに関する発明が特許になっている。
・その発明の概要を説明するとともに、更に質の高いバリアフリーにするための着眼点につて考察します。
今日のテーマは「エスカレーター」です。
最近のエスカレーターは省エネ化が進み、センサーにより人の乗り降りを検知して、人が乗っているときは動き、人が乗っていないときは減速又は停止して、電力消費を抑えています。

この発明は、それを一歩進歩させたものです。
「カメラを用いた顔認識システム」を導入し、エスカレーターに「人が乗った。人が降りた。」だけでなく、「どのような人が乗ったか。どのような人が降りたか。」を検知し、それにより従来よりきめ細かな制御を行えるようにしたものです。

そして、「高齢者または子供」が乗っている場合は、エスカレーターを低速にするアイデアが盛り込まれています。
確かに、足腰が衰えた高齢者が乗っているときに、エスカレーターを高速で動かすのは危険なので、高齢化社会に合致したグッドアイデアです。
特許第6548779号
【発明の名称】乗客コンベア
【特許権者】東芝エレベータ株式会社
・バリアフリー目線(高齢者や障害者の目線)で商品を見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・バリアフリー目線で商品やサービスを見直せば、無限にアイデアが湧いてくる。
・超高齢化社会。我が国の高齢者は人口の20%を超え、アメリカや中国など世界中で高齢者が進んでいる。バリアフリー商品への需要は極めて旺盛。
・高齢者は、我が国の金融資産の70%を保有する富裕者層であり、購入資金を潤沢に保有している。
・バリアフリーの独自商品を開発すれば、ブルーオーシャン市場を開拓できる。
バリアフリーアドバイス
この発明は高齢者や子供に配慮した素晴らしいものであり、この発明を批判するつもりは一切ありません。ただ、「カメラを用いて顔認識システム」を使用するのであれば、もう一歩アイデアを進めて「白杖を持った視覚障害者」にも配慮して欲しかったと思います。
顔認識が可能であれば、白杖の所持も認識できる筈だからであり、視覚障害者が乗っている場合こそ減速する必要があるからです。

高齢者への配慮を検討したなら、障害者への配慮も検討する。
この思考パターンが日本中の開発者に根付いたなら、我が国のバリアフリーはもっと質の高いものとなります。
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