知的障害のある人の選挙権を実質化する選挙制度

一歩足りないバリアフリー

【知的障害と選挙制度】

記事の概要

・国民の選挙権を守るため、選挙制度や投票所などに様々なバリアフリー対策がなされている。

・しかし、知的障害のある人にとって、それらバリアフリー対策は「一歩足りないバリアフリー」となっている。

・どこが足りないのか? それを補うにはどうすればよいのか? 制度の改善案を検討しました。

今日のテーマは「知的障害と選挙制度」です。

この記事を書いているのは令和元年7月。今週末には令和になって初めての国政選挙(参議院の選挙)が行われます。

前回の記事でも記載したとおり、最近ではバリアフリーに対する意識が高まり、投票所でも様々なバリアフリー対策がなされています。

しかし、知的障害がある人の場合、これらバリアフリー対策は一歩足りないバリアフリーとなります。どこが一歩足りないのでしょうか?

答えは「重度知的障害の場合、自分の暮らしを良くしてくれる候補者を選べない」です。

一口に知的障害と言っても様々な人がいます。知的障害があるものの、選挙の意義や候補者が掲げる政策の重要性を理解できる人がいる一方で、それを理解できない人もいます。

私の息子は後者に入ります。

1歳や2歳の子供をイメージして頂ければいいのですが、1歳や2歳の子供に「選挙というのは、自分の暮らしを良くするための大切な制度で、候補者の政策をよく理解した上で自分の判断で候補者を選びなさい」と言ったところで、それは絶対無理ですよね? 私の息子も知的レベルとしては同様なのです。

【知的障害の息子を投票所に連れて行く】

私は、息子が二十歳になって選挙権を得たときに、息子を投票所に連れて行きました。

投票所に着いて受付をしたとき、息子には知的障害がある旨を伝えると、役所の方が補助人として息子に付き添ってくれました(親の付き添いは認められません)。

投票用紙への記入コーナーに着いた補助人は、息子に候補者の一覧を見せ、投票したい候補者を指さすよう促しました。訳が分からない息子はテキトーな人を指さし、その候補者の名を補助人が投票用紙に記入して投票を終えました。

選挙の公正性を確保するために、このような法律上の仕組みになっているようで、それはそれで一定の理解ができますが、やはり「何かおかしい?」と思ってしまいます。

選挙の意義も、候補者の政策も全く理解できない息子が、「自分の暮らしを良くしてくれる候補者」を選べるはずがないのです。表面上、息子は選挙権を行使していますが、実質的には行使していないのです。

やはり、息子の将来を真剣に考えている親(保護者)が、息子の暮らしを良くしてくれる候補者を選び、代理投票できるようにすべきだと思うのです。

知的障害のある人にとって、今の選挙制度は一歩足りない制度となっています。

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