【一歩足りないバリアフリー 〜高齢者食編〜】
記事の概要
・【高齢者用の柔らかい食事】を、高齢者が持つバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しい「おもてなし術」が生まれる。
・その欠点とは? そのおもてなし術とは?
・高齢化社会において、「おもてなし」も変化させる必要がある。
今日のテーマは高齢者の食事のです。
噛むチカラや飲み込みの機能が衰えた高齢者のための食事。食材を柔らかく煮たり、魚の骨抜きをしたり。一口に「高齢者食」といっても、様々な工夫がなされています。
でも、一般的な高齢者食をバリアフリー目線で見ると、実は「もう一歩足りないバリアフリー」なのです。さて、どこが一歩足りないのでしょう?
答えは「食べた気がしない」です。
これはある高齢者施設で調理をしている高齢者食のプロから聞いた話です。すべての食材を柔らかくした料理を高齢者に提供すると「食べた気がしない」という残念な感想が返ってくるそうです。
人は食事を味付けだけで味わっているのではなく、食感でも味わっている。なので、柔らかくすべき食材と、敢えて硬めに調理する食材(余り柔らかくすべきではない食材)とを見極めることが必要なのです。
もちろん、噛むチカラが著しく衰えた一部の高齢者には、食材を柔らかくしたり、食材を刻んで提供するのは当然です。でも、そこまで衰えていない高齢者も多く、その人達にとって全てが柔らかい料理は「食べた気がしない」のです。
例えば、味噌汁に入れる大根や人参などは、敢えて少し硬さを残して提供する。これにより食感にメリハリが付いて「しっかり食べた気がする。美味しい。」との感想が、高齢者から返ってきます。
食感を残すことは、高齢者の噛むチカラを維持する上でも大切なことです。
バリアフリーホスピタリティ
もしあなたが高齢者のために料理を提供する場合、「何もかも柔らかくする」という思い込みは捨てましょう。その人がある程度噛むチカラがあるのであれば、「敢えて食感を出す」ことで料理を喜んでいただけます。
なお、「やっぱり噛みにくい」と言われてしまったら、包丁やハサミで刻むことで対応することもできます。「もし硬かったら刻みますからね」と一言添えて料理を提供すれば、殆どの場合に対応できます。
高齢化社会において必要な「おもてなし術」です。
食材の刻みサービスに関しては、【バリアフリーホスピタリティ 〜おはぎ・お寿司編〜】を御覧ください。
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