【一歩足りないバリアフリー 〜浴室の手すり編〜】
記事の概要
・浴室に設置された手すりの位置をバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がる。
・その欠点とは?
・そのような欠点を生み出さないための方策について考察します。
今日のテーマは浴室の手すりです。
高齢者施設では高齢者が安全に入浴できるよう様々な配慮がなされています。写真はある高齢者施設の浴室で、一見すると何も問題がないように思えます。
でも、バリアフリー目線で見た場合、この浴室は「もう一歩足りないバリアフリー」なのです。さて、どこが一歩足りないのでしょう?
答えは「高齢者を誘導しにくい位置に手すりがある」です。
まず、介護ヘルパーが重度の歩行困難者(高齢者)を浴室内に誘導し、入浴介助をするまでの手順を説明します。
【介助手順】
介護ヘルパーは、歩行困難な高齢者を下の図のように支えながら浴室に誘導します。つまり、介護ヘルパーはバックをしながら高齢者を誘導します。
次に、高齢者を手すりに掴まらせ、介護ヘルパーは高齢者の後ろに回り、後ろから支えるようにして高齢者を椅子に座らせます。
その後、身体を洗う等の入浴介助をします。
ところが、上の写真だと「高齢者を手すりに掴まらせる動作の際に、介護ヘルパーが浴槽と壁との間(黄色い矢印部分)に閉じ込められてしまいます。そこから出たくても、高齢者が手すりに掴まって立っているので出られません。
これでは高齢者の後ろに回って高齢者を椅子に座らせることができないのです。
諸事情あってこの位置にしたのかもしれませんが、やはりこの位置は困ります。
そのため介護ヘルパーは「椅子の位置を大幅に下げ、一旦高齢者を座らせ、その後椅子を前に移動させる」という余計な動作を行っています。
体重の重い高齢者の場合は一苦労ですし、椅子に負担がかかり、いつ壊れてもおかしくないので危険です。
キャスター付きの入浴用椅子があるので、安全確保のためそれを追加購入するなど余計な出費を伴います。
バリアフリーアドバイス
アドバイスは単純明快です。手すりは介助の動作を介護ヘルパーに確認した上で設置しましょう。
ただ手すりを取り付ければ良いというものではありません。
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