高齢者の「着席」を補助する椅子のアイデア

バリアフリー特許の世界

【バリアフリー特許の世界 〜椅子編〜】

今日のテーマは「椅子」です。なお、今回は「特許」ではなく無審査で登録なる「実用新案」です。

実用新案登録 第3153974号

【考案の名称】 滑り止め機能を有する椅子

【氏名又は名称】台湾の某会社

先日、「高齢者を転落事故から守る椅子のアイデア」というブログ記事を書きましたが、今回はそれと同一線上にあるアイデア(考案)です。

そのブログ記事でも説明ましたが、高齢者の中には、椅子からの立ち上がり(離席)や着席に苦労する高齢者が沢山います。

例えば、高齢者が着席する場合、次の動作を取ります。

  • 椅子を引いてテーブルと椅子の間に移動する
  • 座る
  • 椅子を前方に移動させる(椅子を前方に移動させるチカラがない人がいるので、介護ヘルパーが椅子を後方から押してあげます。)

今回紹介するアイデアは、この動作を楽にする椅子のアイデアです。

下の図は、その椅子の左側面図(左横から見た図)です。

椅子が備える四本脚のうち、前方の二本は普通の脚で、後方の二本の脚の先端にはキャスターが備えられています。

また、キャスターの後方にはストッパーがあり、椅子の背もたれ上部にはバー(介護者が持つハンドル)があります。

下の図のように、介護者がバーを後方・下向きに引くと、椅子は仰向けになり、キャスターが動いて椅子を前後に移動できます。

また、椅子が過剰に傾かないよう、一定の位置でストッパーが効いて止まります。

これなら、チカラがない介護ヘルパーでも、椅子を簡単に移動させることができます。

なるほど〜!

私は、このアイデアを知ったとき「後ろに傾くことを怖がる高齢者がいるかも…」と危惧しました。高齢者は怖がりの人が多いからです。

しかし、それはストッパーを調整して傾きを極力小さくすれば解決する話です。

なかなかのグッドアイデアですね。

Point バリアフリー目線はアイデアの宝庫

・バリアフリー目線(高齢者や障害者の目線)で商品を見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。

・バリアフリー目線で商品やサービスを見直せば、無限にアイデアが湧いてくる。

Point バリアフリー市場は巨大市場

・超高齢化社会。我が国の高齢者は人口の20%を超え、アメリカや中国など世界中で高齢者が進んでいる。バリアフリー商品への需要は極めて旺盛。

・高齢者は、我が国の金融資産の70%を保有する富裕者層であり、購入資金を潤沢に保有している優良顧客である。

バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略

ところで、この椅子の考案者は台湾の人のようです。

台湾でも高齢化が進んでいるのでしょうね。

社会の「超高齢化」は我が国のみならず、アメリカや中国など世界中で進んでいます。バリアフリー市場は稀にみるブルーオーシャン市場なのです。

ご提案

貴社の商品やサービスを、バリアフリー目線で見直してみませんか?
きっと高齢化社会で喜ばれる沢山のアイデアが生まれることでしょう。

当協会では、バリアフリーに関するコンサルティングを行っています。
興味のある方は本ブログの下欄にある「問い合わせ」からお問い合わせください。

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