バリアフリー特許の世界 〜入浴介護用の椅子編〜
特許第5945059号
【発明の名称】介護用シャワー椅子
今回は「入浴介助用椅子」に関する発明の紹介です。
加齢により心身の諸機能が衰えた高齢者は、徐々に外出や趣味を楽しむことができなくなります。そんな高齢者の数少ない楽しみの1つがお風呂。入浴が楽しみで高齢者デイサービスに通ってくる人は沢山いて、介護ヘルパーはそんな人達の入浴を介助します。
入浴介護において介護ヘルパーを悩ますのが「便の処理」です。加齢により排便機能が衰えた高齢者は、排便タイミングの調整が困難になります。
- 入浴時、身体を洗っている際に肛門をシャワーで洗うと、肛門が適度に刺激され便失禁してしまう人。
- 便秘が苦しくて下剤をのんでいるため、入浴用介護椅子に座っている際に便失禁してしまう人。
そんな高齢者が多数います。
その場合、介護ヘルパーは高齢者のお尻を綺麗に洗うだけでなく、お風呂の椅子と床を消毒します。でも、これが結構手間なのです。
そこで、今回の発明は、高齢者が入浴介護用椅子に便失禁した場合でも、その被害を最小限にするものです。
特許第5945059号 特許公報より引用(左の図は椅子の全体図、右の図は器の拡大図)
発明の概要
- 入浴介護用の椅子の座面中央に大きめの穴をあけると共に、その穴の部分に便を貯める器を取り付けます。
- ただ、それだけではシャワーの水で器が一杯になり、便が外に流れ出てしまいます。そこで、その器には小さな穴を数箇所あけて、排水させます。
- イメージとしては、キッチンの流しにある三角コーナーを円形にして、座面下に取り付けるようなものです。
- これにより、高齢者のお尻の汚れ、および椅子や床の汚れを最小限にする、という発明です。
なーるほど。まさに必要から生まれたアイデア。
製造コストも低そうなので、介護椅子メーカーに提案してコラボできたらいいですね。
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