【バリアフリー特許の世界 〜駐車システム〜】
記事の概要
・クルマの自動駐車システムをバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・その欠点とは? そのアイデアとは?
・超高齢化社会において必要な自動運転システムについて考察します。
近年、自動車のテクノロジーの進歩はめざましく、数年後には自動運転が実現するようです。
すでに馴染み深くなっている自動車テクノロジーの1つとして、「駐車支援システム」が挙げられます。駐車場の枠内に上手く駐車できるよう支援するシステムで、「駐車が苦手」という方には便利なシステムです。
バリアフリー目線の駐車システム
でも、この駐車支援システムをバリアフリー目線で考察すると、1つ問題があります。さて、それは何でしょう?
ヒントはこの画像↓
答えは「駐車枠の真ん中にクルマを誘導すると、高齢者や障害者が降りることができない」です。
上の写真のように、クルマの外側(左側)にステップなどが出てきて、障害者の乗り降りを容易にする福祉車両があります。座席そのものが外側に出てくるタイプもあります。
そんな福祉車両の場合、駐車枠の真ん中にクルマを誘導してしまうと、左の出口が狭くなって乗り降りが不便です。
そこで、福祉車両の場合は、敢えてクルマを駐車枠の右側に誘導して、降り口を広くするバリアフリーアイデアが提案され、これが特許出願されています。特許出願人はトヨタ、公開番号は「特開2018-127154」です。さすがトヨタ。気が利きますね。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
このように、バリアフリー目線に立った商品開発を行えば、他の追随を許さない独創的な「自動駐車システム」のアイデアが生まれます。
このようなアイデアを必要とする高齢者ビジネスの市場規模は大きく、日本のみならず、これからアメリカや中国でも高齢化が進み、その需要は増加する一方です。まさにブルーオーシャン市場です。
バリアフリー目線の大切さ
駐車枠の真ん中にクルマを誘導するのは当然。私はそう思っていました。これが【固定観念の罠】です。でも、真ん中に誘導してはいけない場合があるんですね。言われてみればその通り。当然で簡単なことですが、言われなければ分からない。
バリアフリー目線は固定観念を打ち破るチカラがあるのです。
バリアフリー目線は思わぬことを教えてくれ、それが新しいアイデアのヒントになります。
バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)
このアイデアは障害者のためのアイデアですが、お子様連れのお父さんお母さんにも喜ばれると思います。子供が勢いよくドアを開けて、隣のクルマに傷をつけるトラブル(ドアパンチトラブル)が頻発しているからです。降り口を広くすると皆が幸せになるのです。
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