【バリアフリー商品開発支援 〜シャワーのグリップ編〜】
記事の概要
・シャワーのグリップをバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・その欠点とは? そのアイデアとは?
・超高齢化社会において必要となるシャワーのアイデアについて考察します。
今回のテーマはシャワーの「グリップ(持ち手)」です。
高齢者はお風呂が大好き。高齢者デイサービスに通う高齢者の一番の楽しみです。しっかりと身体を洗い、シャワーで石鹸を落としてから入浴します。
高齢者施設で使用するシャワーは特別な物ではなく、普通のシャワーです。
でも、バリアフリー目線で見た場合、このシャワーには1つ困り事があります。さて、それはなんでしょう?
答えは「介護ヘルパーはシャワーの温度変化がわからない」です。
通常、介護ヘルパーはシャワーの「グリップ」を持って高齢者にお湯をかけます。当然ですね。
高齢者施設では何人もの高齢者の入浴を介助するので、何度も「シャワーを出したり止めたり」を繰り返します。
すると、ボイラーが不調になり、知らぬ間にお湯が水に変わっていることがあります。
でも、介護ヘルパーはシャワーの「グリップ」を持っているから、それに気づかない。すると、冷たい水が高齢者にかかり、↓のようになります。
高齢者がびっくりするだけならまだマシですが、最悪の場合、健康上のトラブルが生じる危険性もあります。このようなトラブルを防止するために、介護ヘルパーは常にシャワーの出口に指をかけてシャワーを持ちます。
こんな感じ↓
このようにすれば温度の変化をいち早く察知できます。
ただ、これは非常に持ちにくい。このような持ち方は長く続かないのです。
バリアフリー目線の商品開発ヒント
そこで、シャワーの「持ち手」部分に小さな穴を開け、介護ヘルパーの手のひらに常にシャワーのお湯がかかるようにする。
このようにすれば「持ちにくい」という問題は解決すると共に、お湯の温度変化をいち早く察知できます。
そしてこれを「介護者用シャワー」と明示して販売する。小さな穴を開けるだけで、他のシャワーとの差別化できます。
決して爆発的にヒットするアイデアではありませんが、一部では非常に喜ばれるアイデアとなります。
バリアフリー目線の大切さ
シャワーのグリップからお湯が漏れるようにする。私は高齢者の入浴介助をするまで、このような着眼点に全く気づきませんでした。
介護ヘルパーが持つバリアフリー目線は意外な気づきを与えてくれます。そして、それが新しいアイデアのヒントになります。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
このような機能を持った商品は他社では絶対売っていません。
そこで「介護用シャワー 〜ヘルパーが常にお湯の温度を確認できる特殊構造を採用〜」などとアピールすれば、容易に他社製品との差別化ができます。
しかも、介護を中心とした高齢者ビジネスの需要は増加する一方。日本のみならずアメリカや中国などでも、これから本格的な超高齢化が進みます。まさにブルーオーシャン市場です。
コメント