【バリアフリーホスピタリティ 〜応接室のソファー編〜】
記事の概要
・応接室に置いてあるソファー。これをバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しい「おもてなし術」が生まれる。
・その欠点とは? そのおもてなし術とは?
・高齢化社会において必要となるおもてなし術について考察します。
大切なお客様をお迎えする応接室。
お客様にくつろいで頂くために立派ソファーが置いてあります。
でも、この応接室のソファーをバリアフリー目線で見ると、1つ困り事があります。
さて、その困り事とは何でしょうか?
答えは「一旦座ると、立ち上がるのが大変」です。
筋力やバランス感覚が衰えた高齢者はフカフカのソファーが苦手。足が不自由な障害者も同様です。
ただでさえ立ち上がりにくいのに、掴まるところもない。
手で座面を押し上げて立ち上がろうとしても、座面がフカフカなのでチカラが入らない。
健常者でも「立ち上がりにくい」と一度は感じたことがある筈です。健常者であれば、バランス感覚もチカラもあるので、なんとか立ち上がれますが、高齢者や障害者は大変なのです。
バリアフリーホスピタリティ
そこで、ソファーの横に椅子を置きましょう。
「椅子のほうがよろしいですか?」
お客様がいらっしゃった時に、一言添えれば喜んでい頂けます。
誰でも、「立ち上がる時に転びたくない。」「四苦八苦して立ち上がっている姿を見られたくない。恥ずかしい。」と思うものです。
大切なお客様にこんな思いをさせては申し訳ないですよね。
また、もし可能であれば、思い切ってソファーを取り払いましょう。通常の椅子とテーブルに置き換えれば問題は解決します。
「高低差を少なくする」…シニアマーケット ・高齢者ビジネス で必要な着眼点です。
なお、同趣旨のブログ記事【バリアフリー商品開発 〜折りたたみベッド編〜】もご覧下さい。
バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)
私も応接室のソファーに招かれたことがあります。
正直に言って「何が嬉しくてこんなソファーを置いているのだろう?」と思います。
・出されたお茶を飲む際は前屈みにならなければならない。
・メモを取る際に書きにくい。
・そして立ち上がりにくい。
健常者であってもそう思います。
また、スカートを履いた女性にもソファーは不評。「スカートの中を覗かれるのではないか?」と思うそうです。正面に座る男性も「見ないようにしないと」と妙な気遣いをしなければなりません。
「応接室のソファー」…百害あって一利なしだと私は思っています。
ソファーの横に椅子を置くか、思い切ってソファーを取り払って通常の椅子とテーブルに置き換えれば、皆が幸せになる「ユニバーサルデザイン応接室」になります。
バリアフリー目線の商品開発ヒント
「立ち上がりが大変なのは分かるけど、やっぱりソファーを置きたい。」という需要はある筈です。
そこで、立ち上がりが容易なソファーの開発という着眼点が生まれます。
例えば、立ち上がりを支援する肘掛け付きの椅子がすでにバリアフリー商品として開発されていますが、これと同様の肘掛け付きソファーを開発する。
または、立ち上がり支援機構付きの椅子がすでに開発されていますが、これのソファー版の開発という着眼点もあります。
バリアフリー目線は新しい商品開発のヒントを与えてくれます。
バリアフリー目線の大切さ
多くの人が「ソファーって立ち上がりにくい。」と思いつつも我慢して座っています。
「応接室にはソファーが置いてあるもの」…この【固定観念の罠】が、多くの人に我慢を強いている原因です。
でも、高齢者や障害者が持つバリアフリー目線は、それに対し堂々と「NO!」を突きつけます。
バリアフリー目線は固定観念を打ち破るパワーがあるのです。
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