【バリアフリー商品開発支援 〜肌着編〜】
記事の概要
・高齢者の肌着を、バリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・その欠点とは? そのアイデアとは?
・超高齢化社会において必要となる肌着のアイデアについて考察します。
今日のテーマは肌着です。
加齢と共に体温調節機能は衰えていきます。もう春なのに十二単衣のように重ね着をしている寒がりの高齢者が本当に多くいます。
そんな方の必需品…それは「肌着」です。
でも、バリアフリー目線で見た場合、下の写真の「肌着」には1つ困り事があります。
さて、それはなんでしょう?
答えは「肌着の上下が同じ色で、区別が難しい」です。
高齢者デイサービスに集まる高齢者の一番の楽しみ…それはなんと言っても「お風呂」です。
認知症の方の場合、着替えの用意はご家族や介護ヘルパーが行いますが、そうでない方の場合はご自身で着替えの用意を行います…しかし!そこでトラブルが発生します。
「着替え袋に上下の肌着を入れたつもりが、袋の中には上の肌着が2つ入っていた!」…というトラブルです。
こんな感じ↓
上下が同じ色で形も似ているので、上下の区別がつかず、上の肌着を2つ入れてしまうのです。確かに、ひと目見ただけでは区別がつかないですよね。
介護の現場では、その場合は着て来た肌着をもう一度着てもらっていますが、排泄物が付着している場合はそれも無理です。また、排泄物が付着していなくても、やっぱり衛生的ではないです。何より風呂上がりのサッパリした気分も台無しです。
バリアフリー目線による商品開発ヒント
そこで、上の肌着の色と下の肌着の色とを、別の色にして販売しましょう。
例えば、こんな感じ↓
上記のとおり、肌着の上下の色が揃っているからこんなトラブルがおこるのです。色分けすれば、上を2つ揃えてしまうというトラブルは生じません。
肌着ですから上下の色が違っても大丈夫。外からは見られませんから。「あの人、色違いを着ているわよ」なんて陰口を言われる心配はありません。
「色を分ける」…シニアマーケット ・高齢者ビジネス で必要な着眼点です。
なお、同趣旨のブログ記事【バリアフリー商品開発支援 〜シャツ編〜】もご覧下さい。
バリアフリー目線の大切さ
肌着の上下の色が同じだと困る。そんなこと思いつきませんよね。
「肌着の上下は同じ色が常識」。これが【固定観念の罠】です。
高齢者や障害者の独自の視点は、固定観念の罠を打ち破る意外なことを教えてくれ、それが新商品開発のヒントになるのです。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
肌着という商品は巷に溢れ、他社商品との差別化が難しい商品です。
でも、「介護用肌着 〜上下の区別がカンタンです〜」などとアピールすれば、簡単に差別化でき、シェア拡大を狙えます。
しかも、高齢者ビジネスの市場規模は大きく、これからアメリカや中国でも高齢化が進み、需要は増加する一方です。まさにブルーオーシャン市場です。
バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)
肌着の上下の色が違えば、家族や介護ヘルパーも助かります。
洗濯した後に肌着をタンスに収納する際に、ひと目で区別がつくからです。
もちろん、ちゃんと確認すれば済むことですが、このような小さなストレスの積み重ねが大きなストレスに繋がります。バリアフリーアイデアは、小さなストレスを解消するのにも役立ちます。
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