バリアフリーホスピタリティ 〜ディズニーのアトラクション編〜
今回のテーマは、行列に並ぶお客様に対する「おもてなし術」です。
テーマパークの人気アトラクションには、ながーい行列ができます。
長時間待つのは誰でも苦痛。心身に障害のある人なら尚更です。
よって、行列に並ぶことに関し、障害のある人に対してはある程度の配慮が必要となります。
しかし、その一方で、障害のある人に過度な配慮を行うと、悪平等になってしまい(健常者の不利益が大きくなってしまい)、トラブルの原因になります。
そこで、クイズです。
ディズニーランドでは、そのようなトラブルが生じない配慮を障害のある人達に提供しています。
健常者の利益を大きく損なわない範囲でありながら、障害のある人達に喜ばれる、非常にバランスの取れた配慮措置です。
さて、その配慮とはどのようなものなのでしょうか?
◆動画解説は↓
答えは、
・障害のある人であっても、健常者と「同じ時間」待たなければならない。
・しかし、その一方で、障害のある人は行列に並ぶ必要がない。屋内や広いスペースなど、心身が休まる別の場所でゆっくり待つことができる。待ち時間が経過してそのアトラクションに出向くと、すぐにアトラクションに乗ることができる。
というものです。
私はこれを初めて知ったとき、「素晴らしいアイデアだなぁ」と思いました。
<ご注意>現在、ここで紹介しているアイデアは実施されておらず、別の制度が導入されているとの情報を得ました。ただ、このアイデアの価値や考え方は非常に貴重なので、このまま記事を存置します。誤解のないようお願いいたします。
障害があるからと言って、何から何まで優遇されるべきではありません。
もちろん、生活する上での様々な配慮は必要ですが、テーマパークのような誰もが平等に楽しむべき娯楽施設で、障害のある人達に過度の配慮を行い、健常者との間で悪平等になってしまうと、かえってバリアフリーへの反感が生まれ不都合な結果となってしまいます。
私の息子は重度の知的障害を持っています。
息子とテーマパークに行き、アトラクションの行列に並んだことが何度もあります。
長い時間行列に並んでいると、次第に息子は落ち着きがなくなり、前後に並んでいる他の人に迷惑をかけないかヒヤヒヤします。
なので、ディズニーランドのこのアイデアは非常に助かります。
障害者割引よりもバランスの取れた配慮を
先日、乙武洋匡さんがブログに次の記事を書いていました。
・ディズニーランドが障害者割引を導入することになった。
・しかし、障害当事者の心境は複雑だ。
という主旨の記事です。
詳細は乙武洋匡さんの記事(以下のリンク)をお読みください。
障害者割引を歓迎する人がいる一方で、複雑な心境になる人もいる。
考え方はそれぞれ違いますし、どちらの考え方が正解・不正解ということもありません。
しかし私は、障害者割引よりも、このようなバランスの取れた「アイデア溢れる配慮」の方がありがたいのです。
もちろん、割引して頂くことは非常にありがたいのですし、感謝すべきことなのですが、それよりも「周囲の人に息子が迷惑をかけないかヒヤヒヤしながらテーマパークに行く」という状況を作らないこのアイデアが本当にありがたいと思うのです。
ディズニーランドへのお願い
ディズニーのこの配慮は非常に優れていてありがたいのですが、1つ欠点があります。
それは、
行列並んでいた人達と「同じ時間」ちゃんと待っていたことを、行列に並んでいた人達が知らない
という点です。
私はこの配慮(サービス)を何度も利用したことがあります。このサービスのお陰で、行列で長時間待つ負担がなくなりました。
息子と一緒に別の場所で待ち、待ち時間経過後はすぐにアトラクションに乗ることができ助かるのですが、アトラクションに乗る際は、「横入り」のような感じでアトラクションに乗り込みます。
行列に並んでいる人をスタッフの方が制止して、我々が横入りのような形で乗り込むのです。
なので、行列に並んでいる人に
「あれ?」
という表情で見られてしまい、少し気まずくなります。
このことをTwitterで投稿したところ、同じような経験のある人から以下のご意見を頂きました。
ディズニーのこの制度、利用したことがあります。
— ASDものくろ🌈求ム語学力 (@asdadhdmono96) June 23, 2020
聴覚過敏のため、屋外の静かなところで座って待っていました。
でもわたしが利用したときは、この制度の認知度があまり高くなくて、同じアトラクションに乗車する方々ににらまれたこともあったので、苦い思い出になりました…。 https://t.co/JuqFPT0h5r
この方の場合は睨まれてしまい、苦い経験になってしまったようです。
なので、「同じ時間ちゃんと待っていた」ということを何らかの形で周知してもらえると非常にありがたいのです。
まぁ、あまり贅沢はいえませんけど。。。(^o^;)
バリアフリー目線によるおもてなし術
これから本格化する「超」高齢化社会。高齢者は増える一方で、今後足腰が不自由な人などが、あたなのお店の行列に並ぶかもしれません。
そのような場合は
「待ち時間が30分くらいなので、ベンチなどで休憩して30分後に起こし下さい。」
などと声をかけ、整理券のようなものをお渡しすると良いかもしれません。
高齢化の時代、そんな「おもてなし術」が他店との差別化を生み、長く愛されるお店の要因になることでしょう。
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