【バリアフリー商品開発支援 〜トイレットペーパー編〜】
記事の概要
・トイレットペーパーをバリアフリー目線で見直せば、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・その欠点とは? そのアイデアとは?
・超高齢化社会において必要となるトイレットペーパーのアイデアについて考察します。
今回のテーマはトイレットペーパーです。
広く一般に使用されているトイレットペーパー。ホルダーからトイレットペーパーを引き出し、適当な長さになったら、上蓋を手で押さえてトイレットペーパーをカットします。当然ですよね。
でも、バリアフリー目線で見た場合、このトイレットペーパーには1つ困り事があります。さて、それはなんでしょう?
◆動画解説は↓(動画の前半でこのテーマを取り上げています)
答えは「高齢者はトイレットペーパーを引き出すことに苦労する」です。
上蓋をしっかりと押さえてトイレットペーパーをキレイにカットしてしまうと、次にトイレットペーパーを引き出す時に、トイレットペーパーを摘むところが無いのです。
健常者であれば上蓋を左手で上げ、右手でトイレットペーパーを簡単に引き出すことができますが、高齢者(特に、認知症の方)は何故か片手だけでこれを行おうとするのです。だからトイレットペーパーを引き出すことができず、結局、陰部を拭かずにトイレから出てくる。
或いは、やっとの思いでトイレットペーパーを引き出せたとしても、上手く引き出すことができずトイレットペーパーが途中で切れてしまう。そして、その短いトイレットペーパーで陰部を拭くので、排泄物が手に付いてしまい、そのままトイレから出てくる。
介護ヘルパーがトイレ介助を行えば問題ないのですが、認知症で歩行可能な人は一人で勝手にトイレに入ってしまいます。
こんな感じで、いまのトイレットペーパーには、衛生的に大きな問題があるのです。
バリアフリーアドバイス
そこで、ロール式のトイレットペーパーを止めて、テッシュペーパー型のトイレットペーパー(チリ紙)を使用しましょう。これなら簡単に紙を摘んで取り出すことができます。
なお、チリ紙は今でもちゃんと販売されています。
「摘まむ所があるか否かを確認する」…バリアフリー市場 ・高齢者ビジネス では必要な着眼点です。
バリアフリー目線の商品開発ヒント
ただ、チリ紙に換えても1つ問題が残ります。
敗戦による物不足を経験した高齢者は「勿体無い」という観念が強く、チリ紙を置いても一枚しか取り出さないのです。なので、これで陰部を拭くと排泄物が手に付いてしまうという問題が残るのです。
そこで、厚手で大きめのチリ紙を開発という着眼点が生まれます。
厚手で大きめのチリ紙であれば、一枚だけで陰部を拭いても排泄物が手に付く心配はありません(厳密に言えば付いてしまう可能性はありますが、その可能性を低くできます)。
製紙メーカーに必要な着眼点です。
これがあれば介護で困っている家庭や介護施設は喜びます。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
厚手のテッシュ式トイレットペーパー。まだ見たことのない商品です
そこで、
「介護用トイレットペーパー 〜厚手のテッシュ式ペーパーだからお尻をキレイにできます〜」などとアピールすれば、介護業界で圧倒的なシェアを狙えます。
しかも、介護を中心とした高齢者ビジネスの需要は増加する一方。日本のみならずアメリカや中国などでも、これから本格的な超高齢化が進みます。まさにブルーオーシャン市場です。
バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)
チリ紙にすればエコにも貢献できます。
ロール式のトイレットペーパーは区切りがないので延々と引き出すことができます。よって、過剰に消費してしまう場合があります。一方、チリ紙の場合は「1枚」「2枚」と区切りがあるので、過剰に使用する可能性は減少します。バリアフリーアイデアはエコにも貢献し、すべての人を幸せにするのです。
バリアフリー目線の大切さ
「チリ紙」って昭和初期の遺物。こんな物はもう役に立たない。
そんな風に思っていませんでしたか?これが【固定観念の罠】です。
「超」高齢化社会を迎える現代、チリ紙は再び必要とされているのです。高齢者のバリアフリー目線は、固定観念の罠を打ち破る意外なことを教えてくれます。そして、それが新商品開発のヒントになるのです。
コメント