【バリアフリーホスピタリティ 〜レストランの注文編〜】
記事の概要
・レストランの注文方法をバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから高齢化社会で必要とされる「おもてなし術」が導かれる。
・その欠点とは? そのおもてなし術とは?
・高齢化時代に必要とされる「おもてなし術」について考察します。
今回はレストランやカフェなど飲食店の話です。
最近のレストランはメニューが豊富でいいですね。レストランチェーンでは洋食もあれば和食もあります。デザートやドリンクの種類も豊富。「食前」「食後」などドリンクが出てくるタイミングまで自由に指定できます。
でも、このようなレストランの注文方法をバリアフリー目線で見ると、1つ困り事があります。
さて、その困り事とは何でしょうか?
答えは「自由すぎて困る」です。
発達障害を持つ人や高齢者は「矢継ぎ早な質問」が苦手。
・ドリンクはお付けしますか?
・ドリンクは「食前」「食後」どちらでお出ししますか?
・砂糖とミルクはお付けしますか?
自由すぎるがゆえ、こんな風に矢継ぎ早に質問をされてしまいます。矢継ぎ早な質問が苦手な人は軽くパニックになります。これは発達障害だけでなく、高齢者も同様です。では、どうすればいいでしょうか?
バリアフリーホスピタリティ
まずは「ゆっくり」質問すること。お客様が注文に迷ったらゆっくり待つこと。当然のことながらこれが一番大事です。
でも、忙しい時にこれを実践しろと言われても難しいですよね。
そんな際は「年代別のおすすめコース」を用意しておきましょう。
当店のおすすめコースです。あっさりとした味付けでお値段もリーズナブル。当店一番の人気コースです。
そんなモデルケースと言えるおすすめメニューを幾つか用意しておけば、お客様はメニューを指さして「これをお願いします」と一言うだけで注文は終わります。これだけで、誰にも注文しやすいユニバーサルデザインのメニューになります。
「選択肢が多すぎないか確認する」…バリアフリー市場 ・高齢者ビジネス では必要な着眼点です。
バリアフリー目線の大切さ
メニューが豊富で、自由に選べることは良いこと。
社会にはこのような固定観念があります。しかし、これが【固定観念の罠】なのです。自由が過ぎると人を苦しめる。発達障害者のバリアフリー目線はそんな意外なことを教えてくれます。バリアフリー目線は固定観念を打ち破るパワーがあります。そして、それが新商品・新サービス開発のヒントになるのです。
バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)
先ほども書きましたが、矢継ぎ早な質問が苦手なのは発達障害者だけではありません。高齢者も苦手です。ある方のご両親は宅配のピザが好きなのですが、電話で矢継ぎ早に質問されるのが嫌なので普段は宅配ピザを注文しません。なので、その方が実家に帰ったときに「注文して」と言ってくるそうです。矢継ぎ早な質問がなくなれば、発達障害者だけでなく高齢者も助かります。
また、矢継ぎ早な質問をすることにより、この宅配ピザ店も顧客獲得の機会を失っているのです。シニアマーケットは巨大な市場規模を有するので非常に勿体無いです。矢継ぎ早な質問を見直せば飲食店も潤う。バリアフリーはすべての人を幸せにするのです。
発達障害の講演会で
以前、発達障害を持つ人の講演会に参加したことがあります。
講演の後に質問コーナーがありました。当時、私はバリアフリーの猛勉強中で、発達障害者の日常を知りたくて、矢継ぎ早に講演者に質問してしまい、司会者から注意されました。
「発達障害を持つ人は、そのような矢継ぎ早な質問がとても苦手なのです。1つ1つ丁寧に質問してください。」
発達障害に限らず健常者であっても、矢継ぎ早な質問をされれば動揺します。
「ゆっくり、1つ1つ」…私はその時から気を付けるようになりました。
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