【バリアフリー商品開発支援 〜バラン編〜】
記事の概要
・お弁当などに入っているバランをバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・その欠点とは? そのアイデアとは?
・超高齢化社会において必要となるお弁当の在り方について考察します。
バランをご存知でしょうか?
お弁当やお寿司の「仕切り」として使用されている、緑色でギザギザしたフィルム状の商品です。
食材の色移りを防止や彩りを豊かにするために使用されています。
確かに、彩りが豊かになりますね。
でもこのバランをバリアフリー目線で見ると、1つ困り事があります。
さて、その困り事とは何でしょう?
答えは「視覚障害の人が誤って食べてしまう」です。
バランは、お寿司や食材に貼り付いてしまうことが多々あります。その際、健常者であればそれを剥がして食べますが、視覚障害者の場合はそうは行きません。食材と一緒に食べてしまいます。
視覚障害者だけでなく、小さなお子様、認知が始まった高齢者、知的障害者にも同様の問題が生じます。
真心込めて作った料理なのに、バランを入れたがために、食べる人に嫌な思いをさせては勿体ないです。
◆動画解説は↓
バリアフリーアドバイス
そこで、2つのバリアフリーアドバイスです。
まずは1つ目。フィルム製のバランの代わりに、本物の食材を使いましょう。レタスなどをカットして使えば、誤食しても問題は生じません。
本物の食材をバランにするための、こんなグッズも売ってます。
2つ目。食材に貼りつきにくいバランを使いましょう。フィルム製のバランは薄くて軽いから食材に貼り付きます。そこで、もっと分厚くて重たいバランを使いましょう。例えば、こんなバランが販売されています。
バリアフリー目線の商品開発ヒント
上記の問題点から「食べられるバラン」の開発という着眼点が得られます。
飲食店の立場からすると、お弁当として提供する料理の彩りは大事ですし、食材の色移りも防止したいので、バランが必要な場合が多々あります。しかし、不用意にバランを使用して誤食事故が起きたら、飲食店にとって死活問題です。これから「超」高齢化社会を迎えるので、誤食事故の危険性は高くなる一方です。そこで、「食べられるバラン」という着眼点が必要となってくるのです。
バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)
先程も書きましたが、バランの誤食で困っているのは視覚障害者だけではありません。認知症の高齢者、小さなお子様、知的障害者なども誤食のおそれがあります。視覚障害者の「バランは困る」という一言が、多くの人の誤食事故を防ぎ、皆さんの生活を安全にするユニバーサルデザインの食品を作るのです。
「不用意に食べ物の中に異物を入れない」…バリアフリー市場 ・高齢者ビジネス では必要な着眼点です。
視覚障害の日常から
様々な障害を持つ人に集まってもらい「コンビニ弁当をバリアフリー化する」というテーマでワークショップを開催したことがあります。
その際、視覚障害者から「バランも困るが、弁当内のカップも困る。アルミホイル製のカップの中にはポテトサラダなどが入っているが、カップがポテトサラダにくっついてしまい、カップごと食べてしまう。」という意見がありました。
「なるほど。確かにそうだなぁ。食べられるカップも必要だ。」と思っていたところ、こんな商品がすでに販売されていることを知りました。海苔で作ったカップです。これなら誤食事故の心配はありませんね。後は、「食べられるバラン」の登場を待つばかりです。
バリアフリー目線の大切さ
普段何気なく食べているお弁当。視覚障害者から「バランは困る。邪魔だ。」という話を聞くまではバランについて深く考えたことはありませんでした。でも、その一言で「確かに邪魔だなぁ。誤食のおそれはあるよなぁ。」と思うようになりました。障害者のバリアフリー目線は、普段見落としている大事なことを教えてくれます。
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