【バリアフリー商品開発支援 〜お風呂の固定具編〜】
記事の概要
・【お風呂】をバリアフリー目線で見直すと、意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・介護施設で必要とされているアイデア商品を紹介します。
今回のテーマはお風呂です。
身体が不自由で排尿・排便に支障のある高齢者の衛生管理は非常に大事です。週に何度かしっかりと入浴をして身体を清潔に保ちます。
そのため、高齢者の介護施設には様々な入浴装置があります。
例えば、こんな装置↓
浴槽の壁が上下に動く、座ったまま浴槽に入ることができる、浴槽の壁を跨がずに入浴できる等の工夫がなされており非常に安全です。
でも、バリアフリー目線で見た場合、この入浴装置には1つ困り事があります。これは上の写真の入浴装置に限らず、すべての入浴装置に言える困り事です。
さて、それはなんでしょう?
答えは「浴槽内で身体が浮いてしまい、溺れる危険性がある」です。
通常、この入浴装置には下の図のような姿勢で入浴します。浴槽内には安全レバー(手すり)が付いており、このレバーをしっかりと握って入浴します。
ところが、この姿勢を保つことは筋力が衰えた人には難しいのです。健常者からすれば、この姿勢を保つことは極めて容易なのですが、この姿勢を保つには意外と色々な筋力が必要なのです。
なので、こんな感じ↓で身体が浮いて溺れそうになります。
そこで、介護ヘルパーは高齢者の両脇を支えて入浴を介助しています。
ただ、介護の現場は多くの高齢者を少数の介護ヘルパーで介護しているので、介護ヘルパーがその人を一定時間支え続けるのは、正直ちょっと辛いのです。もちろん、その人の入浴中はちゃんと見守りますが、できればその人から手を離して他の人の介護をしたいと言うのが介護ヘルパーの本音です。
また、「この人はある程度筋力があるから大丈夫」と介護ヘルパーが判断しても、突然このように溺れそうになる人もいます。
地味な事案ですが、危険で大事な事案なのです。
バリアフリー目線の商品開発ヒント
そこで、高齢者の頭をしっかりと水面から上に出すとともに、身体を水面下に沈められる身体の固定具が必要になってきます。
正直言いまして、これを開発しても爆発的に売れる商品ではありません。でも、リアルな介護現場では必要とされる器具であり、事故防止・安全確保の上で非常に重要な商品です。入浴装置の改良のヒントになると思います。
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