【一歩足りないバリアフリー 〜クルマの手すり編〜】
記事の概要
・【クルマのドアの手すり(持ち手の部分)】を高齢者や障害者のバリアフリー目線で見ると意外な欠点が浮かび上がり、そこから新しいアイデアが生まれる。
・意外な欠点とは何か? そのアイデアとは何か?
・そのようなアイデアの積み重ねがブルーオーシャン戦略を成功させる鍵となる。
今日のテーマはクルマの手すり(持ち手の部分)です。
足腰が衰えた高齢者にとって、外出は一苦労。特にクルマの乗り降りは危険が伴い大変です。そんな高齢者の乗り降りを補助するのが、クルマのドアに付いている「手すり(持ち手部分)」です。
写真はある福祉車両のドアの「手すり」ですが、これをバリアフリー目線で見た場合、「もう一歩足りないバリアフリー」なのです。さて、どこが一歩足りないのでしょう?
答えは「手すりが遠い」です。
福祉車両に詳しくない人もいると思うので、順を追って説明します。
まず、福祉車両の後部座席には↓のような手すりが付いています。なので、後部座席に座った高齢者はこの手すりに掴まって乗り降りします。
しかし、高齢者デイサービスの送迎などでは、一度の4人以上の高齢者を乗せることがあり、後部座席だけでなく助手席にも高齢者が乗ることがあります(助手席には比較的足腰が丈夫な人に乗ってもらいます)。
高齢者が助手席から乗り降りする際は、当然、助手席のドアに付いている手すりに掴まるのですが、これが遠くて届かない。クルマの外側に大きく身体を傾けないとこの手すりに届かない。でも、そんなことをしたら地面に落ちてしまいます。なので、実際には、この手すりに掴まることができる高齢者はいません。
バリアフリー目線による商品開発のヒント
そこで、手すりをもっと近くに(ドアの根元側…写真の赤丸のあたり)に付ける。たったこれだけで高齢者の乗り降りが随分楽に、安全になります。
高齢者は常に掴まる所を探している…この点は高齢者ビジネス、シニアマーケットにおいて必要な着眼点です(同趣旨の以下のブログ記事も御覧ください)。
【一歩足りないバリアフリー 〜シャワー浴編(1)〜】【一歩足りないバリアフリー 〜シャワー浴編(2)〜】【バリアフリー商品開発支援 〜クルマのドア編〜】【バリアフリー商品開発 〜送迎編〜】【一歩足りないバリアフリー 〜クルマのドアノブ編〜】【一歩足りないバリアフリー 〜福祉車両編〜】
バリアフリーはすべての人を幸せにする(ユニバーサルデザイン)
下の写真は一般的なファミーカーのドアです。
このドアに付いている手すりも随分遠くにあります(丸い丸枠)。もっと近く(赤い丸枠)に手すりがあれば、高齢者のみならず誰もが乗り降りが楽に、安全になります。
バリアフリーは全ての人の暮らしを便利にするのです。
バリアフリー目線によるブルーオーシャン戦略
「ドアの手すりが遠くて掴めない」…私は高齢者デイサービスで高齢者の送迎をするまで気づきませんでした。
「言われてみれば当然だけど、言われないと分からない。」そんな貴重なことを教えてくれる。それがバリアフリー目線の魅力です。
私は、ドアの手すりを根元側に設置しているクルマを見たことがありません。
手すりを根元側に付け、「高齢者も乗り降りカンタン。手すりを近くに付けました。」とアピールすれば、容易に他社製品と差別化できます。
特に、高齢者ビジネスの市場規模は大きく、これからアメリカや中国でも高齢化が進み、需要は増加する一方です。まさにブルーオーシャン市場。
バリアフリー目線ですべての商品・サービスを見直せば無限にアイデアが湧いてくる。そのようなアイデアの積み重ねがブルーオーシャン戦略成功の鍵になるのです。
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